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第1回 | 筑紫先生

あたまの中のこと。 Part2

澤田
「先生」への教育については どうですか?
筑紫先生
研修、会議、理解の確認のために 「バックテスト」をしたり というのをやってます。 うちは上下関係が 厳しい職場じゃないから。 先生同士でなんでも聞いて 相談しあって、という 雰囲気は大事にしてますね。 園児との場合もそうなんですけど、 例えば、 一人の園児が 友達に嫌な思いをさせてしまった時とか。 その場で教えてあげてね、って 言ってますね。 先生はいつも園児と、 正面で向き合ってなきゃならない。 「それはダメだよ」とか、 「こうしたらいいんじゃない?」 っていうのは、その場で言ってあげるのが 一番理解できるからね。 園児と先生、 保護者の方とも「信頼関係」ですよね。 みんなでやろう、っていう。
澤田
「保護者との関わり合い」で こだわってることってありますか? よく話していることとか。
筑紫先生
成長ってね、 子供は毎日体現してるんですよ。 イベントの晴れ姿だけじゃなくてね。 「子供は毎日成長してますから、 見てあげてくださいね。」 ってお話はよくしてます。
澤田
子どもをよく見てください、 関心を持ってください ということですか?
筑紫先生
子供が興味を持ってることを 一緒にやってみてください、って。 「幼稚園にお任せで」 ということじゃなくて、 子どもが絵を持って帰ってきたら、 「いいね!上手だね!いっしょに描こっか?」 とか、この本が好きなんだ、 って教えてくれたら 「どうする?いっしょに読もっか? 読んでみたい?」とかね。 コミュニケーションをもっと取って、 よく観察してあげて欲しいですね。 子どものために 「どれだけ時間を使ってあげれるか」 じゃないかなあ。 時間を使ってあげるってことを 家庭でもやって欲しいから。
澤田
そういったことを、 敢えて筑紫先生から 伝えてるということですか?
筑紫先生
それは先生たちが言ってくれてます。 私もそうですけど、 大人だってみんな調子が悪かったり 機嫌が良くない時っていう波はある。 それでもコミュニケーションとって、 良い方向に持っていこうね、っていうのが 大事ですよね。 いつも誰かとの関わり合いの中にいるわけだから。
澤田
一緒に良くしていこう、っていう 視点って確かに必要ですよね。 家庭だったらなおさらというか... 地域との関わりなんかはどうですか?
筑紫先生
園外保育で散歩に出たりと いうことはしてますね。 子どもたちからすると、 「家庭と園」が社会なんじゃないかな、 と思ってて。 1日のほとんどの時間を そこで過ごしてるから。 小学生になったら 友達の家に行ったりして、 自分の社会ってどんどん広がっていくけど、 子どもにとっての一番はやっぱり家庭ですよ。 家庭や園での「体験の密度」が 大事だと思いますね。
澤田
確かに。 なんとなくですけど 子どもの時って経験が少ないから、 毎日が新しい感じというか 朝起きたら頭からっぽで。 そこから始まる1日を お腹いっぱい吸収して あとはもう疲れて寝るみたいな(笑)。
筑紫先生
もっと広がりを、という 考え方もありますけど うちはそうじゃない。 積み重ねだし、体験の密度、 小さな成長を大事にしてますよ、って。 「うちはこんな幼稚園なんです。どうですか!?」 ってね(笑)。 はっきり言ってるんです。
澤田
今朝、 園バスに体験乗車させて もらいましたけど、 もうなんだか1日楽しすぎて(笑)。 給食中も園児から いっぱい話しかけられて。 カレーめっちゃおいしかったですし... 正直、 もう一回幼稚園に通ってもいいなあ、 と思いました。 先生は嫌がるでしょうけど(笑)。 いつの間にか 頭の中がすごくクリアになったというか、 すがすがしいというか... ぼくの普段の日常で こんな浴びるほど笑顔と 向き合うことって、考えたら 多分ないなあと思ってですね。 いいですね... 明日も来ようかなあ...
園長
一応先生たちには伝えとくけん、 澤田さん入園しますって(笑)。
澤田
あの、 すいません、大丈夫です! も少し考えます!
園長
(笑)
澤田
ちなみに施設の設備や 環境面で気を配ってる部分はありますか?
園長
安全性ですね。 もう一点は、 直感で「いいな」って思ってもらえる 幼稚園を目指してます。 ただ、なんでもいいってことじゃなくて、 例えば緑があった方が落ち着くし、 雰囲気もいいよね、って思うけど、 多すぎると今度は、 メンテナンスする方に 手間がかかってきますよね。 生き物だから、 気にしてあげないといけないし。 でも先生たちは、 子供たちが一番気になるわけで。 だからなるべくそれ以外のことに 時間を取られて欲しくない。 そういうことには気をつかってます。 それと清潔感。
澤田
確かに、それは感じました。 きれいだなって。 言い方を変えると「幼稚園」ぽくないなあと(笑)。
筑紫先生
ここも昔は、 「ザ・幼稚園」って感じでしたけど、 もっと落ち着ける環境にしたいなあと思って。 これが正解かどうかわからないけど、 例えば、 「赤の鉄棒をまわっておいで」 と言うには色の要素が必要じゃないですか。 でも違う視点があって いいんじゃないかなあと。 そしたら、 「背のたかいほうの鉄棒だよ」とか 「左の鉄棒ね」って言えるじゃないですか。 なんでも色で分けてしまうと 考えなくなる。 他に学びのかたちがあっても いいなあと思って。 特にうちの場合は、 「居心地」を重要視してるから というのもありますね。
澤田
なんと言うか、 「調和」だったり、 「本来の姿」だったり 自然な関わり合いに近いもの、 ということですか? ここへ初めて来た時に そういう風に感じました。
筑紫先生
その基準と、直感の2つかな。 環境を引き立たせるための整備、 という意味もあって。 何を視点にするかで 色の配置って変わってくるよね。 やっぱり、 落ち着ける環境がいいんじゃないかなあ、 とぼくは考えてますけど。
澤田
ぼくは個人的に、それにはとても共感します。 そういえば、 テラスに写真がたくさん並べてあったんですけど、 あれってプロのカメラマンが撮ったものですか?
筑紫先生
そうね。 でも昔は撮ってたんよ。 ぼくがバチバチ撮ってたんだけど、 でもこれ園長の仕事?って思って。 ぼくがしなきゃいけないことは ほかにいっぱいあるけど、 先生たちに撮ってもらうわけにはいかない。 それだったらってことで、 今は専門のカメラマンさんに 頼んでますね。 業務の棲み分けをしないとね、やっぱり。 ぼくよりも教育のことを勉強してるのは先生たち。 主任や副園長は指導や学びに長けてるから それに注力してほしい。 ぼくは何をするかと言ったら、 外に出て対外的な関わりを持ったりだとか、 教育に繋がるような学びを持ち帰って みんなと共有したりとかっていうことを していったほうがいいですよね。
澤田
確かに... 筑紫先生を見てると そんなイメージです。
筑紫先生
そういう、 「フレキシブル」なスタンスでいよう と思ってるけど。
澤田
余裕というか、 張りつめた感じじゃなくってってことですね。
筑紫先生
新しいものをどれだけ受け入れて、 自分の中に落とし込めるか、ってことを 日々続けないと成長はないと思う。 時には間違いもするけどね。 そういえば昔、 プレイステーションが流行った時、 ITは教育につながるんじゃないかって、 なんかアンパンマンとかが出て来る 「教育のゲーム」あったでしょ?
澤田
え? そんなのありましたっけ?
筑紫先生
あれね、教育に活かそうって動きがあって 無償で提供されてた時期があったんよ。 それで使ってみたんだけど、 へえ~珍しいねって。 そしたら保護者から 「ここの園はうちの子にゲームさせるったい!」 って案の定言われて(笑)
澤田
それはなんか想像できるシーンです...
筑紫先生
それで「アイターッ!」ってね(笑)。 保護者の方だって ゲームのことをあまり知らないから、 やっぱり買ってあげるじゃないですか。 欲しいって言われたら。 でも子どもって、 好きなことはずっとやりたいわけ。 好きならやってもいいんだけど ただ、おいしい飴をあげて 「ずっと舐めてていいよ、こっちは楽だから。」 ってなってしまったら、 そのきっかけを園がつくってしまったら やっぱりいけないなあと思いましたね。
澤田
「子どもとゲーム機」の付き合い方って 難しいですよね。 ぼくはたぶん買ってあげないんですけど...
筑紫先生
何でかってさ、 自分が昔そういう時期があったから。 ゲームを思いっきりやってた時期がね。 でも、後から考えたら もったいなかったなあ、と思ったよね。 不毛だったなあって(笑)。
澤田
まったくの無駄ではないと思うんですけど、 向き合い方というか、 付き合い方と言いますか...
筑紫先生
「付き合い方」って あまり教えてもらう機会が ないからわかんないよね。 自分が持ってるものが、 無限に「楽しい」をくれるわけだから、 そりゃもう魔法みたいに、永遠に。 そしたらやっぱり 子どもはいつまででも使うよね。 集中して時間も忘れちゃう。 だからそれをコントロールするのは やっぱり「親」だなあって。 子どもに将来恨まれたくないじゃん。 「あん時ゲーム買ってもらわなければ、 もっといろんなことやってたはずなのにーっ!」 とかって(笑)。
澤田
それ言う子どもも なかなかですけど(笑)。
筑紫先生
子どもの選択は いつも正しいとは限らないから。 周りの環境に左右される。
澤田
そうだと思います。
筑紫先生
やっぱり家庭では、 子どもって親をみてるんですよ。 知らず知らずのうちに親を真似て育っていく。 だから1日の「4.25時間」という 園での時間はすごく大事なわけ。 先生を見てるし、 周りとのふれあいの中で育っていくから。 先生だって常に学んでる。園児に 「先生に会いたいから幼稚園いく!」って 言ってもらいたいじゃないですか。 やっぱり。 卒園時に、 「幼稚園の先生になりたい」って子が 1人でも多くいてくれたらいいなあって、 思いますね。うん。
澤田
それは先生も嬉しいでしょうね。
筑紫先生
こうやってベラベラ喋りましたけど、 明日には真逆のこと言ってるからね。
澤田
あ、いつものやつですね 騙されないですよ(笑)。 今日は長い時間、 お付き合いありがとうございました。
筑紫先生
いえいえ。 こちらこそありがとうございました。
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